「――青崎さん」
たとえ関係があろうとかなろうと、この状態の彼らを放っておく訳にもいかず、話を聞こうとした時だ。嫌な声に呼び止められたのは。
振り返ったそこにいたのは、私が部署内で最も苦手とする先輩。
「仕事をさぼって、何をしているのかな」
そんな彼は息を切らしながら、まるで鬼の面でも着けたような顔で囁いた。
容赦のない怒りに震えていると、隣で弟の同級生たちまで震え上がっていた。
「お話し中に割り込んで申し訳ありませんでした。うちの者に何か?」
そこでようやく、人がいることに気が付いたのだろう。慌てて甘いマスクに戻したが時既に遅し。聡明なうら若い衆は、そんなまやかしに騙されることなく。
「なっ、なんでもありません!」
「すみませんでしたー!」
と、男の子たちは足早に立ち去っていった。
「失礼すぎないか、あいつら」
それが素直な反応だとは、とても口が裂けても言えなかった。



