たらりとこめかみ滴が伝う。雨露か冷や汗か、鳥肌が立つのは冷房の効きすぎが故か。
そのどれもが不快であることに変わりはなく、私はハンカチを取り出して貼り付いた前髪を拭う素振りを見せながら、彼らから一歩遠ざかる。
(無線の電源はちゃんとついてる。大丈夫)
相手を刺激しないよう、笑顔で曖昧に首を傾げてみると、彼らは少しだけ不安そうに顔を見合わせた。
「その。何度か喫茶店で見かけたことがあって」
(ま、まさか、喫茶店のお客さんだったとは)
年齢層高めなのに、あそこ。
「あ、あの。実は僕たち、青崎くんの同級生で」
「……宵くんの?」
「それで、名札を見て、もしかしてお姉さんかなと思って」
「きゅ、急に話しかけてすみません。お仕事中なのに」
「た、確かに驚きましたけれど……」
おどおどした様子の彼らは、とてもじゃないが脅迫犯には思えない。思えないが、わざわざ同級生の姉を見かけたからというだけで、仕事中とわかっていながら声を掛けるような子たちにも見えない。
……何かある? たとえば、彼らが何かを知っていて、その何かを話そうとしているとか。
(何かって、何?)
思いつくことって言ったら……。
“冗談で、仰ってるんじゃないんですよね”
まさかそんなこと、あるわけないだろうけど。



