今回、末端の私まで召集されたのは、ただの人数不足が原因というわけではない。スタッフ一同その数匹の猫の手さえ借りたい状況に嘆いていたが、それとは別でただならぬ問題が密かに発生していたのだ。
作品の認知度が上がれば上がるほど、いろんな人に見てもらえる機会が増え、その分批判も多く受ける。勿論その中からファンになってくれる人もいるが、作品や物語、キャラクターが好きだからこそ、そういう過激化してしまうファンも中にはいるという。人気作ではよくあることなんだそう。
『冗談で、仰ってるんじゃないんですよね』
『ああ。残念ながらな』
今回の件は後者だ。
『何事もなければそれでいい。先生たちも、事を荒立てたくないと仰ってくれているし、内々で済ませられればと思っている』
それでも、脅迫状を送り付けること自体犯罪行為。警察にも話は通し、今日は私服警官もかなりの数が配置されているそう。
そちらに駆り出された男性社員の穴埋めをする形で、私にも召集がかかったのだ。



