『え? 小説の投稿? あたしに文才なんかあるわけないじゃなあ~い』
このひと月の間で、いろんなことがあった。
ある日届いた封筒。そこに書かれていた『紅林 かおん-KAoN kurebayAsHi-』は、やはり同姓同名。ペンネームでしかなかったこと。
『この週末暇か? よければイベントスタッフとして手を貸して欲しいんだが。勿論無理はしなくていい。でも出てくれるなら、ちゃんと報酬は出すぞ』
私がNOと拒絶したからか、あれから一石とはあの話に触れることなく、気まずい空気もなくなり今まで通りの上司と部下に戻ったこと。
『宵くん。私、絶対に諦めないからね!』
弟には、拒絶されても、嫌われても、何が何でも絶対諦めないからと。屋の扉越しに大きな誓いを立てたこと。
昼食以外の食事はせめて一緒に摂ろうよと、いつもテーブルで待って、待ち惚けを食らって終わるだけだったが。それでも、作った料理はちゃんと食べてくれているから、少しは伝わっていると信じて、今は新たな作戦を考え中だ。



