「青崎さん、この資料のことなんだけど――」
「修正しておきました。確認お願いします」
間髪を容れない返答に「あ、ありがとう……」と、A先輩が珍しく感謝をこぼす。
「青崎さんごめん。この間頼んだ分締め切りが早まったんだけど――」
「今し方入力し終えました。確認でき次第お持ちします」
またもや一切の隙を与えぬ返事に「え。あ、ありがとう?」と、疎ましく思っていたであろうB先輩までもが驚きながら感謝をもらす。
「ちょっと青崎さん。顔貸しなさい」
しかし三人目ともなると、そう簡単にはいかないのか。いつもよりも濃いメイクのC先輩は、苛立ちを隠さずに青崎へと詰め寄った。
「……生理用品ありがとう。今から謝恩会だったから助かったわ」
「いえ。ちょうど手持ちがあったので。お役に立てて何よりです」
なんと、コンプリート! 青崎伊代選手、先輩たちからの攻撃を物ともせず見事に解決してみせました!
「なんか、いつにもまして青崎さんやる気に満ちてますね。龍ノ平編集長」
「名前」
「一石編集長?」
「新堂、暇そうだな」
「地獄の掛け持ち打ち合わせが無事に終わったので、久々内勤なんですが。何かあったんです?」
「何が」
「何がと言われるととても難しいんですが。こう、いろいろ?」
「毎日いろいろあるだろ」



