生まれた時から普通の人とは違った私には、普通の人ができることができなかった。わかることが、わからなかった。
前の職場を辞めることになったのもそれが一因で、いろんな尾鰭が付いてしまったそれが、職場中に広がった。
生まれた時から抱えていたそれに、随時対応するのは私にとっては普通のことだった。
だから、それでも特に不自由を感じることはなかったのだが、周りはそれを良しとはしなかった。
目が変わり、躊躇いが生まれ、空気が淀む。
居づらくなった。いられなくなった。だから、辞めた。
「そんなことがあったからか、人と距離を置く癖が抜けなくて。人としても、冷めていると言いますか」
「あの」
「何をかは、よければまだ聞かないでやってください。あの場所には、もう少しいたいと思っているので」
ちいさく「わかりました」と頷いた彼は、一度ゆっくりとコーヒーを飲み下した。
「人として冷めていると思ったことはありませんが、確かに、生きにくそうだなとは感じますね」
思いも寄らぬ言葉に、思わず顔を上げる。「僕は思ったことを言ったまでですよ」と、彼はソファーに深く腰掛けた。
「……何やってんだよ」
その時だった。よく知った声が、聞こえたのは。



