青い青い空




「お待たせしました」


 今更ながら、客として来たはずなのに流れでいいように使われていると気が付いた私が、再び彼の前に料理の乗った皿をそっと置いたのは、席を立ってから十数分後のこと。


「……これは?」

「ひとまずのお礼兼お詫びです」

「先程も仰っていましたが、それを受け取らなければならない理由が全く見つからないんですけど」

「でも、今はこれを食べていただかないと私の気が治まらないので」


 彼はホットサンドと私を見比べた後、大きなため息をついた。


「あなたも被害者では?」

「え?」

「気に食わないからと言う理由で目を付けられて、いい加減な仕事を振られていい迷惑だったでしょう」

「……先輩方の気持ちも、わからなくはないので」


 龍ノ平一石という人間は、整った見た目から多くの人に好かれている。けれどそれだけではなく、長年彼のそばにいて、彼の人間性に惚れ込んだ人たちも多くいる。部署の人たちは大半が後者だ。

 そんな中、ぽっと出てきたアルバイトの女をとことん目に掛け、過保護に守っていれば、ただでさえ彼が多忙なことをよく知っている人たちはいい気がしないだろう。

 私だって、逆の立場ならもっと自分にも構ってくれと、ヤキモチを妬いていたかも知れない。彼の仕事をこれ以上増やさないでと怒ったかもしれない。


「でも今夜に至っては、()()()()()()()今頃右京さんは、お家でゆっくりされているのではないかと思うので。だから、よければ受け取ってください。それは私から」


 ――食べたかったんですよね? ホットサンド。