間髪を入れない厭み返しに、正直に答えるんじゃなかったと反省していたのも束の間。「ではそれで」と続いた声に、今度はこちらが虚を衝かれる番だった。
「えっと、どれですか?」
「全ていただきます」
「す、すごい量になると思うんですけど」
「就業後にひと働きしたので、十分入る空間はあります」
それ多分、遠回しに『私のせい』って言ってますよね。
一応すみませんと言ったら、やっぱり「いえ、お気になさらず」と言われた。
存分に理不尽さを感じながら、そのままオーダーを通しに向かう途中で、ふと疑問に思う。全然驚いてないようだったが、常連だからこそここで働いていることを知っていたのだろうか。今はもう土日しかシフトは入れていないのに。
それともまさか、さっきの店長との会話が聞こえたとか? それはそれで、本気で不味いんだけど。
「オーダーです。十四番テーブル、ハヤシライスとナポリタンとハンバーグ」
「はーい。大盛り?」
「お願いできますか?」
「勿論よー」
そうしてお願いをしたあとで一つ、思い出したことがある。どうして今、自分はここにいるのだろうかと。
「あの、ちょっといいですか店長。お願いがあるんですけど」
「ふふ。伊代ちゃんのお願いなら大歓迎よっ」



