少しだけ痛むそれを摩っていると、『えっ。そんな痛かった? ごめん』と、慌てた様子で起き上がった彼が、その手を取って撫でてくれる。目尻からこぼれていったそれも、そっと拭いながら。
『僕が悪かったから、泣くなよ』
『すごいなって。思ったの』
『は? 何が』
『私には。やりたいことも。なりたいものも。何もないから』
弱気になって俯いた頭を、今度は目の前の彼が撫でてくれた。『馬鹿だろお前』と、呆れた様子で笑いながら。
『んなもんはな、無理矢理見つけるもんじゃねえ。ふとした時に思い付くもん』
『でも私、何も思い付いたことないから』
『いいんじゃね別に。てか結構好き勝手やってたくね?』
『そ、それとこれとは、ちょっと違うような』
『些細なことだっていいんだよ。もししたいことが見つかったら、僕は全力で応援するから』
『……ほん、とう……?』
『勿論』と。『だから、もう泣くな。いいな』と。頬を包み込んでくれる彼の両手に、そっと自分のを重ねる。



