荷物を片付けていると、窓側の方からカタリとちいさな音が聞こえる。
季節はもうすぐ梅雨。先走るようにやってきた長雨の、雨宿りに小鳥でもやってきたのだろう。
退社の準備をしようと窓のブラインドを下げに行く。ふと視界に入るデスク上の山の書類。その中に人の手のようなものが見えて、思わず叫び声を上げそうになった。
「一石、さん……?」
埋もれていたのは、ギブアップした編集長。ちいさな寝息が聞こえるので、今度もちゃんと生身の人間のようだ。とうとう仮眠室に行くことすらできなくなってしまったのだろう。
しかし、夏目前とは言え冷房が効いた部屋では流石に風邪を引いてしまう。せめてタオルケットか何かを取ってこようとしたところで、私の視界の端に、見覚えのある書類が見えた。
「この書類……」
それは本来、私が先輩たちから任せられるはずの雑務だった。



