その日の仕事を終えたのは、フルタイム労働の時間をとっくに過ぎた頃。 コンテストの分類スペースである資料室の一区画――その一番上に置いてある『武家屋敷 橙利-T(・)ori bukeyasH(・)I(・)K(・)I(・)-』と書かれた差出人の封筒を一度視界に入れ、パチンと部屋の電気を落とす。 部署へと戻ると、扉のガラス窓から見える室内の明かり。一度大きく息を吸って……止めた。 「お疲れ様です」 ガチャリと扉を開けるも、返ってくるのは沈黙だけ。無駄に入れた気合いは、安堵のため息とともにゆっくりと吐き落とした。