そうして彼女は、願いを叶えられないままこの世を去った。田舎の景色を見て、「綺麗だね」と言った、その次の日に交通事故で。ベビーカーを押していた母親と赤ん坊を助けるために。
生まれた時から病を抱えていた彼女には、普通の人ができることができなかった。わかることが、わからなかった。
そんな彼女の願い事は、ただそれを、わかるようになることだけだった。
彼女の瞳にこの世界は、一体どんな風に映っていたのだろう。
綺麗だと、本当に思ってくれたのだろうか。君を――した僕を、恨んでいるだろうか。
僕は、それでも構わない。他でもない君だけが、僕のことをわかってくれたから。
だから、たとえこの身が滅びようとも僕は、僕の願いを叶えに行く。君に、伝えたいことがあるから。



