テンション高めの黒瀬をどうどうと宥めながら、自分の恋愛価値観についてさらけ出すことにした。平たく言うと、キスができるかできないか。
「そんなこと言ったら、あたし青崎ちゃんにキスできちゃうんだけど」
ぶちゅっと唇を突き出す顔さえ美人って、一体どういうことなんだ。
「そんなこと言ったら、俺だって青崎ちゃんにキスできちゃうんですけど」
その隣で同じように唇を突き出してくる久賀野については、丁重にお断りさせてもらった。
「いや、これマジな話で」
「取り敢えず久賀野くんは、女心を理解するところから始めたらいいと思うよ」
「……あのさ、これマジで伝わってない系? アリ中のアリなんだけど」
「はいはい。どうもありがとうね」
「年下が対象外じゃなかったら、全力で口説いてる」
「へ?」
「そんな風に思うくらいには、キスできちゃうんですけどね俺は」
「――っ?! あ、あのねえ……!」
おばさんをからかわないでと全力で抵抗しようとしたが、気付けば私の上半身は、立ち上がった黒瀬に抱き締められていて、それもままならなかった。
「くっ、黒瀬ちゃ」
「見るなあーッ!!」
「いっ、息できな」
「こんなかわいい生き物、飢えた男どもの巣窟に放置してられるか。今すぐあたしが、ベッドで真っ赤な青崎ちゃんの全部食べ尽くしてやる」
ハアハアと荒れた息に、思わず体を強張らせたのは言うまでもなかった。



