反応が面白くなかったのか、「もう一本いいですか」と、右京は返事も待たず新しい煙草に火を付け始める。その様子が少しだけ照れたように見えて、彼に見えないようにくすりと笑った。
片や煙草を黙々と吸って。片や棒アイスを黙々と食べて。夜中に二人並んでしていたそんな光景は、酷く滑稽に見えたことだろう。
でも、この時間が始まった頃にはもう、少しだけ萎んでいた心も元に戻っていた。無言の空気が煩わしいと思わなかった。
「右京さんって、魔法使いみたいですね」
「ごほっ、ごほっ」
煙に噎せた盛年は、存分に軽蔑の視線で睨んできた。
「褒めたのに」
「嬉しくありませんけど」
「魔法が使えるのに?」
「いや使えませんけど」
「いいなあ」
「人の話聞いてます?」
「私は使いたいなあ」
「……はあ。じゃあどんな魔法が使いたいんですか」
彼はただ面倒くさくなったのだろう。それならそれで、さっさと会話を放棄すればよかったのに。なんだか憎めない人だなと思った。
「もし、魔法が使えたら……」
じっと、頭上を見上げた。
都会にしてはたくさん瞬いている星を。真っ暗な夜空を。
「……帰りましょっか。もうすぐ帰るって弟に伝えたので」
何か言いたげな彼にはただ、「ご想像にお任せします」とだけ告げた。



