『何』
「宵くん遅くにごめんね。今電話くれてたのに気が付いて」
『で』
「あ。……えっと、用事何だったのかなって」
『別に。もういいし』
「そ、そっか。ご飯は食べた? 冷蔵庫に残り物あったでしょう。あ、もしかして冷食にしたかな。それとも下の喫茶店に――」
言っている途中で、ブツリと遠慮無しに電話を切られた。今日は相当ご機嫌斜めらしい。
「ひえあっ?!」
小さなため息を落としていると、頬を冷たい何かが襲う。驚いて変な声が出た。
「アイス。食べますか?」
「……へ?」
ぽかんと口を開けたまま驚いていると、今度は袋を破ってそのまま口に突っ込まれそうだったので、慌てて受け取った。
「すみません。おいくらでしたか?」
「お気になさらず」
一度ならず二度までもしてもらってばかりは、こちらとしても譲れないところがあったのだが。
「……おいしい」
「それはよかったです」
彼が煙草を吸い始めてしまったので、そのまま素直にいただくことにした。好物だったし。この甘さが今は胸に染みる。



