声を荒げても微動だにしない彼は、平気な顔をしながらその中心に置いた飴玉の袋を破って自分の口に入れた。
「そうでなかったら、初めから古葉龍青ではなかった」
「初め、から……?」
「言ったろう伊代クン。これは一つの可能性の話だよ」
龍ノ平一石の目の前に初めて現れた人物。それは、本当にあの――古葉龍青だったのか。
「一度会ったきりで、後は全てメールで済ませていたのだろう? だとしたら、それも決して難しい話じゃないはずだ」
「だとしても、一体何のために」
「どうしても身バレしたくない理由があったか。彼が働いていたという会社に行ってみるのも手だけどね」
「でも、古葉さんは亡くなっているんですよ?」
「言ったろう伊代クン。これはただの可能性に過ぎない。今現時点で、一番重要なことはさて何かな」
「……現時点で、ですか?」
不意に投げ掛けられた問いに、私は手の平の飴に視線を落としながら長考する。



