信号で止まると、彼は私の前にあるダッシュボードをガバッと開ける。すると案の定また、バラバラとカラフルな飴が雪崩のように落ちてきた。
「よく考えてもみておくれ」
慌てるこちらを余所に、彼は私の両手の平に五つの飴を置いてみせる。そして、それを私がしっかりと確認したのを見てから、その中心に飴玉をもう一つ。
「僕が龍青に会ったのはその時が初めてだ。柳一も佐裕子も、彼が古葉龍青だと教えてもらわなかったら、誰かわからなかった」
「……何を、仰りたいのかわかりません」
「実際生きていた古葉龍青に会っていたのは、龍ノ平クンと伊代クン。君たちだけ。でも伊代クンも、彼が古葉龍青だと教えてもらった。そうだろう?」
「了安先生」
「簡単な話さ。ヒット作が欲しかったがために、誰かが誰かをこの世から消して、尋常じゃないスピードで編集長クラスにまで上り詰めたと」
「一石さんはそんな人じゃありません!」



