「直に職場? 一旦家に帰ればいいのに。近いんだから」
「帰ったらやることが山積みなので」
案じてくれているのに仕事の話を持ち出すのは心苦しいが、了安は素直に「わかったよ」と折れてくれた。
「でも、朝って言ってもだいぶ早い時間には着くと思うよ。そんな時間にも仕事するの?」
どこか拗ねている様子に、やっぱりかわいい人だなと思ってしまう。確かに、狼というよりは子犬と言われた方がしっくりきた。
「任された仕事を処理できないと部署全体が困りますし、気になることもあるので」
「話は聞いたけど、無理なら無理ってちゃんと言わないと駄目だよ?」
「一石さんにも言われましたけど、私ってそんなに無理してるように見えるんでしょうか」
「……一石って、龍ノ平クン?」
「ご存じありませんでしたっけ?」
「いや。知ってたけど」



