私が眠っている間に、高級外車はとある田舎町へとたどり着いたよう。
封筒の住所を車のナビに入れた了安は、信号で止まるなり「うーん」と悩ましげに顎へ手をやる。
「かなり短編だね。まるで日記をかいつまんだような文章だけど、確かにこれは龍青の作品だ」
「今更なのですが、先生に作品をお見せしてよかったのでしょうか。今こうしていることも職権乱用では……」
「問題はないよ。遅かれ早かれ僕は、これを読むことになっただろうし」
「どういうことですか?」
「それは追々。それよりも」
信号が変わったのを確認してから、彼はゆっくりと車を発進させた。
「どうして今になって、これを君のところへ送ってきたのか」
「…………」
「どうかした?」
「あ。いえ」
「何でもないって顔してないよ。龍青がまだ生きてるんじゃないかと思った?」
「そ、れは……」



