青い青い空


「もう随分と待たせちゃったから、旅費は僕が全額持つよ」なんて言いながら、てへっとウインクしてくる彼に、今更になって飲んだお茶の成分が時間差で出てきたのか。物凄く頭が痛くなった。


「運がいいことに明日は週末。休日出勤しなければ、君の体は僕のもの」

「土日は喫茶店の仕事が入ってます」

「休んじゃいなさい。君の体と僕の心の方が大事」

「休んで迷惑をかけたくありません」

「君が休んだところで店はどうにでもなる。でも君自身が休まないと、君の体は休まらない。少しくらい休みが欲しいと言ったところで、君のことを蔑ろにするような人ではないんだろう?」

「それは……」


 言い淀む私にふっと笑いかけながら、「良案だと思わない? 了安だけに。ぷぷ」と言いながら、彼は夕星を見上げた。


「僕の知人を騙り、僕の愛する伊代クンの睡眠を妨げる悪い輩は、僕がこの手でとっちめてやらないと」


 ふんっと、鼻を鳴らした了安がかわいくて思わずクスッと笑みがこぼれる。


「それに、君も知りたくない? 一体誰が、何のために、偽名を使ってまで同じ作品を送りつけてくるのか」

「それは……」


 答えられない時点で、それはもう決まっているようなもの。

 それでも決めきれない私の背中をそっと押しながら、まるで星がきらめくように彼は笑った。


「もし君にその気があるのなら……」


 僕はいつだって、君のために力を差し出すことを躊躇わないよ――と。