二人には後日必ず謝礼をすると約束した後。
「男の臭いがするねえ」
(ど、どんな匂いなのかな)
予定の時間に少し遅れて到着した私は、出迎えられて早々、担当の 了安 彗星 に捕まっていた。
でもそれも彼の勘違いに過ぎないので、先程野田と二人の若い後輩たちに助けてもらったのだとはっきり伝えておく。疚しいことは何もないし。
「君の周り、男の影多くない?」
「男性が多い職場ですから。勿論女性もいますけど」
「もっと口を酸っぱくして言い聞かせた方がよかったかな。男はみんな狼だよって。それとも僕がさっさと狼になって、ぱくっと食べちゃえばよかったかな」
「あはは。了安先生が狼なわけないじゃないですか」
今目の前にいるのは、業界では誰よりもジェントルマンと名高いあの『了安 彗星』で、本性は甘いものが大好きなかわいい人だ。狼と言うよりは寧ろわんこに近いだろう。
「本当に、そう思ってるの」
けれど、もしかしたらそれは大きな間違いだったのかもしれない。



