嬉しそうに喜んでくれる彼女にほっと安堵していたのも束の間。「そうと決まれば善は急げ! 今すぐ行こう!」と、黒瀬は箸を持つ私の手首をがしっと掴んで立ち上がった。
「く、黒瀬ちゃん? 行くってどこへ?」
「占いだよ占い! 青崎ちゃん、いいよって言ったじゃん」
「た、確かに言ったけど、そういうのって普通夜に行くものじゃない?」
「ううん昼」
返ってきた単調な返事と真顔。そして死んだ魚のような目。
拒否権もなければ抵抗することもままならないまま、私の体は猪突猛進ちゃんに引きずり回されることとなった。
――――――…………
――――……
「ね、ねえ黒瀬ちゃん私、会社の中に占い師さんがいるとは、到底思えないんだけどなあ……」
悪びれた様子もなく、広報部、人事部、総務部と連れ回され、本社ビルの中を殆ど見て回ったんじゃないかと思い始めた頃。安請け合いをしたことを酷く後悔していた私の体が悲鳴を上げるのと同時、休憩時間がもうすぐ終わろうとしていた。
「あれ? 言ってなかったっけ。占ってくれるのうちの社員なんだよ」
「は、はじめて、ききました、けど」
「そうだった? ごめんごめん。てか青崎ちゃん意外と体力あるんだね。雅感激」
「……今から恐怖しかない」
「どうして?」
「絶対、忘れた頃に筋肉痛やって来るよこれ……」
「あはは」



