「あ! やっと見つけました青崎さん!」
「な、何かあったんですか?」
「あったのは青崎さんの方でしょう」
「はいこれ!」と、未だ扉と抱き合っている新堂が渡してくれたのは、数字の羅列がびっしりと書かれた数枚の資料。見覚えのあるそれに、まさかと瞠目する。
「どうして、これを新堂くんが」
「盗んで来ちゃいました」
てへっと、素直に打ち明ける彼に、サアっと血の気が引いていくのを感じた。そんなことをしたら、彼まで嫌がらせの標的になってしまう。
「大丈夫ですよ?」
にもかかわらず、能天気な顔でそんなことを言う始末。
これがゲームなら、その顔面に思い切り胡椒爆弾を投げ付けて、くしゃみ止まらずの魔法をかけていたところだ。
「先輩には気付かれないように、こっそり持ってきました。青崎さんが気にすると思って」
「どうして……」
「舐めないでくださいよ。丸っと一年青崎さんのこと見てたんですから、それくらいわかります」
「新堂くん……」
ありがとうございますと、深々と感謝に頭を下げる。
嬉しそうに笑ってくれた後、汗も拭かないまま外れた扉の修理に向かおうとするので、ポケットからハンカチをそっと差し出した。
「よ、汚れちゃいますよ!」
「大丈夫です。私も同じように汗拭いたので」
「えっ」
「って、大丈夫じゃないですねそれじゃ。野田さん、タオルか何かありますか?」
「だ、大丈夫です! そのハンカチで是非――」



