青い青い空


 そうこうしているうちに、一つ目の資料の打ち込みが完了。一度それをプリントアウトして席を立つ。


「すみません一旦失礼します。またすぐ戻るので、もう少しうるさくしますがご勘弁ください」


 出来上がったものを抱えてダッシュ。約束の10時まで残り10分。確認の時間を入れると、制限時間はあと5分もない。たとえ足を捻挫しても、肺が破れても、どんなことがあっても届けなければ――――。



 形振り構わず文芸部署に戻ると、それは楽しそうな声が聞こえた。賭けという言葉や万単位の数字が飛び交っていて、部署内での自分の立場を、存在を、改めて思い知る。


「お待たせしてすみません。確認お願いします」


 私に仕事を任せた女の先輩は驚きに目を瞠った。

「全員ができないに賭けてたら意味ねえじゃん」という声には聞く耳を一切持たず、彼女の確認が終わるのを息を整えながらじっと待つ。


「初めからちゃんとしてよね。あなたの資料じゃないとわかりづらいって言われるから困ってるのよこっちも」

「え? す、すみません」

「悠長に話してる余裕あるんだなあ青崎さん」

「す、すぐに会議用の資料を作成してきます」


 そして、もう一度文芸部署を飛び出した。打ち込むだけではなく、今度は数字の間違いを見つけなければ、到底『できた』とは言えないからだ。