もう一回言って

なんで。
された時、一番最初に思ったのがこれだった。
「ンンッ」
苦しくて涼ちゃんの胸を叩くと、やっと顔を離してくれた。
「止まったか」
そう聞かれ、自分の涙が止まっているのに気が付いた。
私が泣いてるのを止めるためにキ、キス…したの?
さすがにそんなわけないよね?いくら涼ちゃんでもそれほど天然じゃないよね。
「……」
とっさの声が出なくて、頷くだけしかできなかった。
「そ。じゃ風呂入ってこい。体育祭のせいで汗かいてんだろ」
「待ってよ!」
ソファから立ち上がって寝室に行こうとしているであろう涼ちゃんに大声を出すと、こっちは見ないまま止まってくれた。
「どうして、あんなことするの?」
「…。俺のしたことが、未桜の中で”あんなこと”な時点では言えねえよ」
「私たち幼馴染じゃん、友達じゃん!気になったこと聞いただけだよ?それに涼ちゃんは私にとって…」
「大切な存在、だろ?俺とお前では見方がちげえんだよ。俺にとっての大切な人は未桜以外いないけど、未桜からしたら何十人もいるなかの一人にすぎねーだろ、俺は」
どういうこと?
そんなこと言われたら、勘違いするよ…?
「物心ついたころから未桜が好きなんだよ。自覚したのは同居してからだけどな」
「え…」
ウソだ…。だって涼ちゃんそんな素振り一度も見せたことなかったのに…?
私のことが好き…?なのに、私は涼ちゃんにひどいこと言って、旭先輩のこと相談して…最低だ。
「私、あの…ごめん…」
今までにないくらいおどおどしながら言葉を探す。
「謝ってほしいわけじゃねえんだよ。…ごめんな、下心ある奴と同居すんの嫌だろ?俺、出てくな」