もう一回言って

こっちは男女別リレーの時涼ちゃんのせいで泣きそうだったのに!
人の気も知らないで呑気なんだから。
「言っとくけど、手加減しないって言ったからな。未桜が転んだり泣いたりしても助けねぇから」
「フン!そんなドジじゃありませんー!それに、涼ちゃんの力借りなくてもそんなの余裕だし」
腕を組んで強がるけど、内心じゃ不安や緊張で頭がいっぱいだ。
でも大丈夫。今のところ総合得点では白組が勝ってる。このままいけば…多分大丈夫だ。
《それでは、体育祭最後の混合リレー…よーいスタート!!》
ノリのいい実況者の声とともに、開始の合図の銃が鳴り響き、観覧席も保護者席も一層盛り上がる。
緊張で手が震える…足もガクガクしてきた…去年も同じ体験したはずなのに、やっぱり慣れない。
よし、よし…!
順調に白組がリードし、私の前の走者も走り出した。
頑張れ、ガンバレ!!拳を握ると額から汗がにじみ出てくる。
あ…まずい。紅組と差が縮んじゃってる…。このままじゃ…。
抜かされる!と思ったと同時に私と涼ちゃんが一緒にバトンを渡された。
紅組の前走者の男子の顔を少しだけ見ると、私を見て口角が上がった。
…なに?
バタンッ―!!
考える暇もなかった。紅組の前走者に足を引っかけられ、受け身の体勢をすぐに取れなかったせいで派手に転倒してしまい、バトンも落としてしまった。
校内が一気に静まる。彩が叫んでいる気もするけど、起こったことを理解するのに必死で何を言っているのかが聞こえない。
どうしよぉ…涼ちゃんにあんなに大口叩いたのに。バカにされちゃうかなあ…悔しいなぁ。
ううん、そうじゃないよね。ここまで点数を取ってきてくれた白組と、同率一位の状態でバトンを渡してくれた人にも悪いことをしてしまった…。みんな頑張ってきたのに、努力無駄にしてごめんなさい…。
心の中で謝りながら、諦めて立とうとする…のに、なぜか立てない。
うん…?今度こそ、なに?え?足が挫けた?
今更痛みが襲ってきた…私、かっこ悪すぎでしょ。
立て、立て私!根性で立たないと…。