もう一回言って

「先輩!」
「うん、何かな?」
彩の言うことがホントなら確かめないと……先輩はこのこと知ってるのかな?意外に天然だから…知らないってい
うこともある。
「あの、はちまきのことで…。旭先輩は意味とか知ってるんですか…?」
「意味?あー…。もしかして未桜は知らなかったの?」
「え…あ、ついさっき友達に聞いて知ったんですが、それまでは知りませんでした」
「なーんだ。そういうことだったんだ?そっかー。ん~、俺も知らなかったよ?」
そうなんだ。やっぱり…。
安心したような、残念なような。
でも三年生である旭先輩でも知らなかったってことは涼ちゃんが知ってるわけないよね…。
少しだけ…良かった。
「そうなんですね!ふふ、体育祭、頑張りましょう!ではっ」
頭を下げて彩のいるほうへ走る。
はーっ、緊張した!
「もう。未桜ってば…。あ、あれ黒崎君じゃない?」
「涼ちゃん!?」
観覧席から身を乗り出して涼ちゃんの姿を探す。涼ちゃんは一番奥の方にいて、借り物競争をしていた。
「応援してあげれば?敵だけど…」
「いいのかな…」
言葉が喉で突っかかって出てこない。
「あ、黒崎君お題のとこまで行ったよ!」
どうしよう、どうしよう。
「り…、涼ちゃん頑張れ…」
小さな声で応援する形になってしまい、彩も納得してない様子。
「未桜…?」
それでも、一瞬だけ涼ちゃんがこっちを見て私のことを呼んだ気がした。
「おっ、こっち来てるよ!」