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旭先輩が家に来てからの涼ちゃんはずっと様子が変だった。
私の目を見て話しているのに、ぼーっとしていて話を聞いてないときもあった。
と、引き戸が開く音がして涼ちゃんがパジャマ姿で入ってきた。
「よぉ。寝るのか?」
「んー…涼ちゃんが来るまで待ってたの。まだあまり眠くないかな」
「そうか…」
まただ。涼ちゃんは私の話に相槌を打っているのに全然聞いてないように見える。
「ねえっ、涼ちゃん!聞いてる?」
「聞いて…ない。なんだっけ」
「今日変だよ。体調悪いの?大丈夫?」
「いや、全然。もう寝よ」
私が何か言いたげなのを分かってるはずなのにそれを無視して部屋の電気を消した。
まだ眠くないのに…。
にしても、この家に…二階の私の部屋に旭先輩が、いる…。
そう思うと緊張して余計に寝れない…。
「…未桜…」
目が暗闇に慣れてきたころ、涼ちゃんが私に背を向けたまま言った。
「ん?」
「もし俺が……」
「なに?」
「…なんでもね。悪かったな。‥おやすみ」
「えぇ?おやすみ…」
何を言いかけてたんだろう?
やっぱり変だなぁ。何か、あったのかな。
誰かと喧嘩したとか?あ、もしかして好きな子に振られた?
いや…涼ちゃんは確かに不器用だけど、喧嘩するような人はいないはず…。好きな子だっていなさそうだったし。
