サヨナラは、向日葵の香りがした。

本当は、未練なんて最初から一つもなかった。
俺がこの世に戻ってきたのは、リストを埋めるためじゃない。カナが「俺がいなくても、笑えるようになる」のを見届けるため。

それが、神様との、本当の約束だったんだ。
 
向日葵の丘で、俺の体は光に溶け始めた。
カナが必死に笑顔を作ろうとしている。その顔が、俺にとって一番の宝物だった。
 
最後に耳元で囁いた「愛してる」は、風に消えてしまったかもしれない。

でも、カナ。
 
俺の49日間は、カナがくれた最高の奇跡だったんだ。
 
もしも、泣きそうになった時、空を見て。

俺はそこにいる。

そして、笑った時は足元を見て。

向日葵と一緒に、俺も笑っているから。
 
さあ、カナ。笑顔で。

俺の愛した、最高の笑顔で。

 
「いってきます」
 
 
天国へ行く俺の背中に、カナの「いってらっしゃい」が届いた気がした。

それだけで、俺の49日間は、一生分の幸せを超えたんだ。