想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

 日頃から気にしている部分ではあったのか、反論を諦めた凱斗さんが口をつぐむ。

 なんでも完璧なようでいて、手を抜いちゃうところもあるんだ。

 そんなところがおかしくて、ついふき出すと「なに笑ってるんだ」とつっ込まれた。


「ひょっとして、俺の分も作ってくれようとしてる?」

 重たいけれど、いろんな調理法でも使えるホーローのお鍋を見ていると、凱斗さんが聞いてきた。

 なんでも美味しくできると評判な分、お値段も張るものなので一人暮らしの間は買うのを我慢していた一品だ。

 一人用にしては大きいサイズなので、そう思ったのだろう。

「蒼羽だって忙しいんだから、俺のことは気にしなくていい。自分のことなら自分でできるよ。これまでだってそうしてたんだし」

 私のことを気遣って言ってくれてるのはわかる。互いを尊重するため、できるだけ関わらないようにする。

 この二週間の私達は、そうやって過ごしてきた。

 でも、そういうの、なんだか寂しいなと思ったのだ。


「せっかく一緒に暮らすようになったのだから、たまには私とごはん食べませんか」