想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

 その数日後、向かった福岡の実家で、私達は想像以上の歓迎を受けた。

 一度は結婚の話を受け入れたものの、せめて長女である私は手元に置きたいと最後までごねていた母を説得したのは、父だったそうだ。

 母もすっかり気持ちは切り替わっていて、なんとも気の早いことに孫の話まで飛び出した。

 ただただ赤面する私に代わり、「今は二人とも仕事を頑張りたいので」と先走る母をなだめてくれたのは凱斗さんだった。

 持ち帰れないほどの手土産を持たされ、祝福する親戚一同に見送られ、私達は地元を後にした。


「蒼羽の実家すごかったな。俺一度にあんなにたくさんの親戚に会ったの初めてだよ」

 帰りの飛行機の中で、疲れきった顔で、それでいて満ち足りた様子で凱斗さんが言う。

 私と凱斗さんの帰郷を聞きつけた親戚たちが、『蒼羽の旦那さんになる人の顔を拝みたい』と、こぞって駆けつけたのだ。

 凱斗さんと会った人みんな、あまりの好青年ぶりに驚いていた。

「大騒ぎでお恥ずかしいです」
「いや、ああいうのなんかいいよな。俺は楽しかった」