想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

 結婚が決まって、私と青柳さんはお互いの経歴や家族環境、過去の思い出など色々教え合う時間を設けた。

「お医者様なのは、お父さまだけでしたっけ?」

「いや、うちは代々医者の家系なんだ。違う仕事に着いたのは俺だけで、兄も弟も医者になって父親が経営する病院に入ってる」

 挨拶のため、横浜にあるという青柳さんの実家に向かう車内で、これまでのおさらいをしている。

 予想外なことに、青柳さんのご実家は県内で総合病院を経営していた。

 お父さまが院長で、二つ上のお兄さんと四つ下の弟さんも、医師として一族が経営する病院に入っているという。

「お母さまは?」
「母は病院じゃなくて高齢者住宅事業の方をやってる」

 それは、結構な事業規模なのでは? しまった。ちゃんと事前に調べておくべきだった。

「病院の名前をお伺いしても?」
「そのままだよ。横浜青柳総合病院」

 スマホで調べると、『横浜市 青柳ヘルスケアグループ』という名前がヒットした。

 病院や高齢者住宅の他にも、在宅サービスや予防医療事業、フィットネス事業など幅広く事業を展開していて、目眩を起こしそうになる。

「こんな立派なおうちだなんて聞いてません」
「俺は事業に関わってないし、あんまり関係ないだろ」

 結婚するんだから大ありだと思うんだけれど……。

 今さらながら、本当に結婚相手が私でよかったのか、また不安になってくる。