想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

「誰が今は恋愛より仕事だって?」
「ごめんなさい……」
「まあいいわ。今日は全部吐いてもらうから。はい乾杯」

 飲み始めるには少し早い時間の、スペインバル。麻衣に促されるままワインのグラスを合わせた。


 私と青柳さんの婚約のニュースは、瞬く間に社内に広まった。

 心から喜んでくれた人。
 眉目秀麗で将来有望な青柳さんの相手が私みたいな地味なCAだなんて信じられないのか、婚約が本当なのか直接確かめに来る人。
 遠巻きに人の顔を見て、こそこそ話している人。
 面白くない、とあからさまに態度に出す人。

 反応は人それぞれだった。

 初めの頃こそ、気持ちの伴わないいわば『契約結婚』なのに祝福してもらって申し訳なく思ったり、容赦ない敵意をぶつけられて落ち込んだりしていたけれど、どんな反応にも、もうすっかり慣れてしまった。