想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

 新庄には、実家の父との不和や、一日でも早く機長になって、父に認められたいと思っていることなどを話している。

 腹の底では、俺のことを心配してくれているのだ。


「そういや、千佳ちゃんから聞いたんだけどさ……」

 調子よく話していた新庄が声のトーンを抑え、顔を近づけてくる。
 千佳ちゃんとは、新庄が晴れてつきあえることになったという彼女のことだ。

「本社の桐島さん、色んな人におまえのこと聞いて回ってるらしい。どうにかして弱点を見つけ出したいんだろうな」

 本社の広報部にいる桐島さんは、大学の先輩だ。学部は同じだが、学生時代にこれといって接触はないはず。しかし、以前から俺のことを目の敵にしていて、なにかと突っかかってくる。色々やりにくい相手だ。

「ほんとおまえ、桐島さんに何したの」
「知らないよ。身に覚えもない」

 なんとなく、三崎さんのことは知られたくないと思っていたのに、それは起きた。

 先日、仕事を終え帰ろうとして、タクシーを逃した三崎さんを俺の車で送ったことがあった。それを社内の誰かに見られていたらしい。


「青柳さんって、客室三課の三崎さんとつきあってるって本当ですか?」