想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

 季節は移り、六月。

 梅雨入り間近とも言われる東京は、じめっとしていて空気が重い。

 最近なんだか最近が晴れないのは、たぶんこの気候のせいだ。

 ただでさえ、このじめじめした空気にうんざりしてるというのに、同期の新庄に誘われて飲みに来てみれば、やつはテラス席で一人、ビールを呷っていた。


「よう!」
「なんでテラス席にしたんだよ」
「なんだよ、たまには外で飲むのも気持ちいいだろ」
「湿気がひどくてそれどころじゃないよ。ったく、席替えてもらうぞ」

 汗をかいたジョッキを手に持ち、新庄がしぶしぶ俺のあとに着いてくる。

「すみません、生一つ」

 空調の効いた室内でジョッキの半分くらい一気にビールを飲み、ようやく一息ついた。

「どうしたの。機嫌悪くない?」
「別に、悪くない」

「青柳さ、最近三崎さんと話したか?」

 口に含んでいたビールをふき出しそうになった。

「大丈夫か?」
「どうして三崎さんの名前が出てくるんだよ」
「や、会えてないから機嫌が悪いのかなと思って」
「俺の機嫌と三崎さんがなんで関係あるんだ」
「あれっ、いまだ無自覚?」

「なんのことだ」