想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

「せっかく今回の乗務でご一緒できたので、もっと親交を深めたいなと思いまして」

 青柳さんの反応にもひるむことなく、梶原さんがさらに微笑みかける。

「必要性を感じない。話がそれだけなら、お先に失礼する」

 青柳さんは深いため息を一つ吐くとそう言い放ち、ちょうど来たエレベーターに乗り込んだ。

「青柳さん、待ってください!」

 梶原さんの呼びかけもむなしく、エレベーターの扉が閉まった。


 ……本当に容赦ない。

 私が青柳さんのことを苦手だと思うのは、こういうところだ。誰に対しても、特に自分に好意を寄せていると思われる女性には、等しく冷たく厳しい。

「なによ、あの態度。人が下手に出ればいい気になって!」

 梶原さんは、ムッとした顔でそう言うと、カツカツとハイヒールの音を立ててその場を去った。

 彼女の姿が見えなくなったところで、私と麻衣は顔を見合わせて詰めていた息を吐き出す。

「いや~、相変わらずね青柳さん。梶原さんでもダメだなんて、女優かモデルとしかつき合わないってあの噂、やっぱり本当なのかな」

「……どうなんだろうね」