想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

 シカゴでのステイは二日間。
 空いた時間で操縦技術審査に向けた復習や新たな機種ライセンス取得のための勉強をするつもりで、特に予定は入れていない。

 体力維持のためステイ先でも軽く走ることにしている俺は、日課のランニングをすませてシャワーを浴びたばかり。

 濡れた髪をタオルドライしながら、このまま部屋にいるか、気分転換も兼ねて外に出ようかと考えていると、ライティングデスクの上に置いていたスマホが鳴った。蓮見チーフからの着信だ。

『もしもし、青柳さん?』
「蓮見チーフ、どうかされました?」

 日頃から冷静沈着な蓮見チーフが、いつになく焦った声で話しかける。

『クルーの三崎さんってわかるかしら?』

 なんとなく気になっていた彼女の名前が出て驚く。なにかあったのだろうか。

「……ええ、わかります」

『彼女にシカゴ美術館を案内するって約束をしてたんだけど、タクシーで事故渋滞に巻き込まれてしまって、簡単に抜けられそうにないの。申し訳ないのだけれど、代わりをお願いできないかしら?』

「俺が、チーフの代わりに三崎さんのガイド役をするんですか?」

『ええ、何か予定あった?』