想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

 しかし、それがたびたび、業務やプライベートに支障が出るほどとなれば、うっとおしいことこの上ない。

 たかだが一度か二度、仕事で一緒になったくらいで俺の何がわかるというのか。

「必要性を感じない。話がそれだけなら、お先に失礼する」
「えっ……」

 ここまですげなくされるとは思っていなかったのか、明らかに動揺している女性に冷ややかな視線を送る。

「青柳さん、待ってください!」

 呼び止められたが、これ以上構うのも面倒だ。廊下に立ち尽くす女性をその場に残し、エレベーターに乗り込んだ。


 たまたま同じフライトになったCA。
 出社した時に挨拶を交わすだけの地上職員。
 搭乗までの移動中に俺を見かけたという乗客。

 例を挙げればきりがない。

 声をかけてくる女性たちのほとんどは、一言二言、業務に関する会話を交わしたことがあるか、一度も話したことのない人たちだ。

 どうせ彼女たちは、本来の俺なんて見ていない。
 知ろうとも思っていない。

 相手にするだけ、むなしくなるだけだ。