想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

 何度も断っているのに、やけに食い下がって来る。おまけに私が嘘をついてると疑ってかかっているのだ。

「本当です。同じ客室部の同期ですよ。桐島さんは、岩永麻衣ってご存知じゃありませんか?」
「聞いたことないな。本当にそんな人いる?」

 麻衣が聞いたらブチ切れそうなことを平気で言う。


「本当は青柳と、だったりして」
「青柳さん?」

 どうしていきなり青柳さんの名前が出てくるんだろう。首を傾げていると、桐島さんが身を寄せてきた。

「気づいてないの、三崎さん。噂になってるよ。この間青柳と帰ってただろう?」
「えっ……」

 私と青柳さんしかあの場にはいなかったと思うんだけれど、まさか、誰かに見られてた? 

 焦りを顔に出さないようにして、あの日の行動を思い返してみる。

 私たち以外誰もいないタクシー乗り場で少しだけ話して、その後連れだって駐車場まで行った。

 車通勤の人は他にもいるし、偶然見かけた人がいたのかもしれない。

 母からの電話のことで頭がいっぱいで、そこまで気が回らなかった。


「青柳と三崎さんがつきあってるんじゃないかって、客室乗務部で噂になってるよ」

 ……嘘でしょう?