想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

「今送ったのが俺の連絡先。登録しておいて。オートロックだって油断するなよ。とりあえず部屋に着いたら連絡して」
「わかりました。それじゃあ」

 マンションの目の前で降ろしてもらったのに、案外心配性だななんて思いつつ、続けて自分の連絡先も送る。

「これ、私の連絡先です。青柳さんも困った時は呼んでくださいね」

 お世話になってばかりでは申し訳ないので、私にでも返せるものがあるなら返したい。

「俺が、困った時?」

 ふっと息を吐いて青柳さんが笑う。

「青柳さんだって、何が起こるかわからないですよ。泣く泣く私に連絡する日が来るかも」

 小馬鹿にされたみたいで、ついむきになって言い返す。 

「ふふっ、その時は遠慮なく頼らせてもらうよ」
「お待ちしてます」

 まあ、青柳さんが私を頼りすることなんて、天地がひっくり返ってもあり得ないだろうなと思いつつも、そう返事を返す。青柳さんは面白そうに微笑んだままだった。

「それじゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」

 青柳さんの車を見送って、四日分の荷物が詰まったスーツケースを転がし、自分の部屋に戻った。

 車に乗せてもらう前よりも、いくらか心が軽くなった気がした。