想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

「知らないか。これはイギリスのバンドだよ。三崎さんは音楽聴いたりしないの?」

 音楽は流行りのものをうっすら知っているくらいだ。ここで名前を上げるほど好きなアーティストも思いつかない。

「特には聴かないですね……」
「そうか。そういえば、君は趣味探しをしているところだったな。その後、なにか見つかった?」

 ハンドルを切りながら、青柳さんが尋ねる。

「目についた本を買って読んだり、オフの日に配信で映画を観てみたり、単発のカルチャースクールに行ってみたり、絶賛趣味探し継続中です」

 今のところ、これだ! とピンと来るもになかなか出会えていない。でも、以前よりは積極的に、趣味にも『自分から出会うように』努めている。

「あ、いただいたシャガールの画集はよく眺めていますよ」

 シカゴ美術館を案内してもらった時、帰り際に青柳さんが買ってくれた画集は今や宝物だ。

 家へ帰り、やるべきことを全てすませ、ベットの中で画集をめくる時間は、私にとってとても大切なリラックスタイムになっている。


「気に入ってもらえたならよかったよ」