きっと頑張ったご褒美に、神様が寄越してくれたのだ。早速乗り込もうとしたところで、コートのポケットに入れていたスマホが着信を告げた。
なんとなく、嫌な予感がする。恐る恐る画面を覗くと、やはり着信は母からだった。
「お客さん、乗らないんですか?」
「……ごめんなさい」
後から私の後ろに並んできた人に泣く泣く譲り、通話をタップする。
スピーカーにしているわけでもないのに、辺りに母の大きな声が響き渡った。
『あ、やっと出た! 蒼羽今どこ?』
「どこにって、まだ職場よ。仕事が終わって今から帰るところなの」
『そうなの。ほら、優実ちゃんって覚えてる? あなたの三つ下の』
いつもの調子で、母がしゃべり始める。内容は近所の子の結婚が決まったとか、いとこの誰ちゃんに二人目ができたとか、そんな話だ。
仕事とはまた違った疲れが、どっと押し寄せてくる。
「お母さん、明日にでもかけ直してもいい? 私今から帰るところで……」
最終の到着便もとっくに着いているはずの今、次に来るタクシーが最後かもしれない。
聞いているのかいないのか、焦る私をよそに、母はまだ何か話そうとしている。
なんとなく、嫌な予感がする。恐る恐る画面を覗くと、やはり着信は母からだった。
「お客さん、乗らないんですか?」
「……ごめんなさい」
後から私の後ろに並んできた人に泣く泣く譲り、通話をタップする。
スピーカーにしているわけでもないのに、辺りに母の大きな声が響き渡った。
『あ、やっと出た! 蒼羽今どこ?』
「どこにって、まだ職場よ。仕事が終わって今から帰るところなの」
『そうなの。ほら、優実ちゃんって覚えてる? あなたの三つ下の』
いつもの調子で、母がしゃべり始める。内容は近所の子の結婚が決まったとか、いとこの誰ちゃんに二人目ができたとか、そんな話だ。
仕事とはまた違った疲れが、どっと押し寄せてくる。
「お母さん、明日にでもかけ直してもいい? 私今から帰るところで……」
最終の到着便もとっくに着いているはずの今、次に来るタクシーが最後かもしれない。
聞いているのかいないのか、焦る私をよそに、母はまだ何か話そうとしている。


