想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

「俺はあの日、君たちのすぐ後ろにいたんだ。二人ともまったく気がついていないようだったけどね」

 やはり聞かれていたんだ。驚き固まっている私を見て、青柳さんがふっと息を漏らす。ひょっとしなくても、呆れてる?

「人のうわさ話をするなら、もう少し周囲に気を配った方がいいな」
「申し訳……ありません」

 恥ずかしさで、顔が熱くなる。席についていてよかった。でなければ、膝から崩れ落ちていたかも。

 それにしても、青柳さんは自分のこと苦手だと言う人間が目の前にいて、気分を害しないのだろうか……。

「やっぱり私、ホテルに戻ります」

「俺はいいと言っているのに、なぜ?」

「だって、青柳さんは私と一緒に行動するなんて、嫌じゃないんですか?」

「君なら他の女性のような面倒を起こしたり、変な要求はしないだろう。こっちとしては逆に安心だよ」

 ここまで言うなんて。蓮見さんが言っていたとおり、よっぽど女性からの告白や誘いに辟易してるんだろう。モテすぎるのも大変なんだな……。

 でも、美術館には行ってみたいし、青柳さんがここまで言うなら、お言葉に甘えてもいいだろう。


「それは、お約束できます!」