想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

 ブリーフィングの時は気づかなかったけれど、そこそこ癖のある人なのかもしれない。

 青柳さん、大丈夫だろうか。

「ちょっと行ってきます」
「悪いわね」

 蓮見さんに後を託し、コックピットへ向かう。ノックをすると、顔を出したのは青柳さんだった。

「失礼します。コーヒーをお持ちしました」

「ああ、ありがとう。忙しい時に申し訳ない」

「いえ、お客様だけでなく、クルーにも気持ちよくフライトしていただきたいのでこれくらいは……」

 私が言うと、青柳さんはなぜか目を丸くしている。

「どうかされました?」

「……いや、なんでもない。もう業務に戻ってくれて大丈夫」

「はい、失礼します」

 一礼して、私はコックピットを後にした。


 AJ119便は、予定時刻の五分前に、無事シカゴ・オヘア国際空港に到着した。

 デブリーフィングを済ませ、会社の手配したバスでステイ先のホテルへと向かう。

 今回のステイは今日を含めて2日間。明後日、私たちは成田への折り返し便に再び乗務する。