想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

「どうしてわかったんですか?」

「まったく、サービス前の忙しい時に。荻野キャプテンいつもそうなのよ。相変らずマイペースなんだから」

 蓮見さんは荻野キャプテンと顔見知りらしい。ふーっとため息を吐く蓮見さんを横目に、ホットコーヒーをカップに注ぐ。

「コールは青柳コーパイからでしたけど」

「青柳さんはそんなことをCAに頼むような人じゃないと思うわよ。なにか欲しければ、休憩の時に自分で取りに来るわ」

 コーヒーを載せたトレイに、蓮見さんがミルクを一つ添えて言う。

 そうなんだ。青柳さんも、もっとクルーに対して高圧的な感じなのかと思っていた。

 なんだかんだ言って、私も彼の噂に感化されているのかもしれない。思い込みって怖いな。


「荻野キャプテンも胃が弱いくせにコーヒー好きなんだから。それ入れてあげて大丈夫よ」
「ありがとうございます」

 一言いいながらもキャプテンの好みまで熟知している蓮見さんは、やっぱりさすがだと思う。

「蓮見さんは、お二人とも面識があるんですね」

「まあ私も乗務歴が長いからね。二人とも何度か一緒になったことあるし、荻野キャプテンは社内でもまあまあ有名だから」