想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

「あなたが後悔しない未来を選んでほしい。私が言えるのはそれだけ」

 涙を拭うこともせず、蓮見さんの言葉に頷く。

 凱斗さんのことが好きだって、きちんと伝える。

 ようやく私は、決心することができた。

 
【話したいことがあるので、時間を作っていただけませんか】

 シカゴステイから戻ってすぐ、私は凱斗さんにメッセージを送った。

【悪い。通常乗務に加えて、インシデントの聴取や検証も入って、しばらく時間が取れそうにない】

 そう返事が来たきり。多忙を極める凱斗さんとは、顔を合わせることができていない。


 業務後の更衣室。制服から着替えながら、私は頭の中でぐるぐる考えていた。
 
 帰ってから一度も会えないなんて。一緒に住んでいるのに、こんなことってある?

 インシデントの翌朝、凱斗さんの様子は明らかにおかしかった。

 あの日から一週間、家はもちろん、会社でも彼を見かけていない。

 ひょっとして、避けられてる?

 嫌な考えが頭を過る。

「まさかそんなことないよね。でも、うーん……」
「なにがまさかなの?」