想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

 なかなかお皿を片付けられない私を心配して、蓮見さんが尋ねる。

 何から話せばいいのか決められずにいると、蓮見さんが驚くようなことを言った。

「今だから話すけど、最初の美術館の件ね、私がちょっと仕組んだの」
「……え?」

 事故渋滞に巻き込まれて来れなくなった蓮見さんの代わりに、凱斗さんにガイドを頼んだこと?

「青柳くんもあなたも、真面目で優秀。うちの会社にとってはかけがえのない人間よ。でも、もっと自分自身の幸せにも目を向けて欲しいって常日頃から思ってたの」

 そんなふうに思っていてくれたなんて、すごく嬉しい。

「あなたが青柳くんに興味を持ったみたいだったから、せっかくだから、引き合わせてみようって。それが、まさかこんなトントン拍子に結婚まで行くなんて……。慎重な二人にしてはあまりにも急で、ちょっとおかしいなって思ってたの」

「そうですよね……」

 やっぱりそうだよね。間近で見ていた蓮見さんからすれば、今まで話したこともなかった二人が、こんな短期間で婚約から結婚までするなんて、何かあるんじゃないかと疑いたくなっても仕方ない。