想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

 テーブルには、すでに用意した朝食が並んでいる。

 食事をとるために椅子に座ろうとした私に、凱斗さんはすまなそうな顔で言った。

「悪いけど、今日は先に行く」
「朝食はいいんですか?」
「ああ。……その、あまり時間がないんだ」

 たぶん、嘘なんだろうな。

 昨日の今日で、食事中私と顔を突き合わせるのが、気が進まないんだ。

「わかりました。いってらっしゃい」

 見送ろうかと思ったけれど、玄関先まで着いていくのも凱斗さんも気まずいだろうと思って、私は席を立たなかった。

「……ああ、行ってくる」

 そう言って、凱斗さんは出て行った。ドアが閉まる音がして、大きく息を吐き出す。

 こんなにギクシャクするなんて、気まずいったらない。

 昨夜のあれは、なんだったのだろう。

 キスをしたのは、凱斗さんからだった。どうして、あんなことを?

 過酷な体験から解放されて、気持ちが昂っていたの?

 ……雰囲気に流されただけ? そこに気持ちはなかったの?


「凱斗さんも私と同じ気持ちなんだったらいいのに……」

 思わず口をついて出た言葉に、そんなわけないと首を振る。