想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

 凱斗さんはオフの二日間、病院に付き添ったり、家事を引き受けてくれたり、私が左手を使わなくてすむように助けてくれた。
 
 おかげで治りも早く、想定していたよりも早く、仕事に復帰することができた。

「蒼羽、はいこれ」

 背中の後ろになにかを隠していたらしい。はい、と麻衣が何かを手渡す。

「これなに?」
「ん~、お土産? こないだパリ行ったの。ついでにベルギーまで足伸ばしてさ」

 綺麗に包装されたチョコレートの小箱だった。

 ベルギーの首都ブリュッセルまでは、パリからユーロ―スターで一時間半ほど。日帰りでも十分行ける距離だ。

「いつ会えるかわかんないから、レターボックスに入れておこうと思って来たんだけど、会えてよかったわ」

「ありがとう。今度私もなにか買ってくるね」

「蒼羽の班って東アジア担当よね? 近々上海乗務とかある? お願いしたい中国茶があるんだけど」

「あるある。オッケー、任せて」

「商品のリンク、メッセージ送るわ」

「了解。パリ便いいなぁ。私は最近、ヨーロッパ便少ないんだよね」

 そういえば凱斗さんが買ってきてくれたコーヒーも、パリで買ったって言っていたな……なんて考えてハッとする。