想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜

 両肩を押され、椅子にまた座らされてしまう。

「どうした、顔が暗いな。痛みがひどくなってきた?」

 そうじゃない。立派なチーフパーサになるのが目標だなんて言っておきながら、中堅になっても、皆の足を引っ張っている。

 何より、凱斗さんのことも……。そんな自分が不甲斐ないのだ。

 何も言えずに首を振る私の頭に、凱斗さんがポンと手を置く。その触れ方が優しくて、なんだか泣きそうになる。

「自分が情けなくて」

 顔を上げると、凱斗さんは視線で続きを促した。

「怪我をして乗務ができなくなって、みんなのスケジュールを乱したのもそうですし、凱斗さんのことも……」

「俺?」

「仕事のために結婚したのに、私、凱斗さんの足を引っ張ってばかりじゃないですか?」

 結婚する前の方が、仕事や勉強に時間を割けていたんじゃないのかな。
 こんなはずじゃなかったのにって、思ってないだろうか。

 不安でたまらない。
 
 凱斗さんは小さく微笑むと、向かい側に腰を下ろした。怪我した方の右手を取って、きゅっと握る。